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技術レポート
「ビスマスフェライト」

多機能性誘電体「ビスマスフェライト」
~難素材の合成に成功~

日本化学産業株式会社(社長・角谷 博樹)は、長年にわたり、光学・精密機器、エレクトロニクス、セラミックス、石油化学触媒、電池材料など、さまざまな産業のニーズに応える工業薬品を製品化してまいりました。これまでは、主にさまざまな用途において原料として使用される金属塩を提供してきましたが、このたび、誘電体材料そのものの開発に取り組み、合成に成功しました。

この技術開発は、2030年に向けて、「オンリーワン事業」や「先端の新素材事業」を開拓するために、イノベーティブにチャレンジするという「中期経営計画」に即した取り組みです。

【技術開発に取り組んだ背景】

情報化社会の進展に伴い、私たちが扱う情報量は飛躍的に増大しており、この傾向は、今後、ますます強まっていくものと考えられています。そうしたメモリーの高密度化、高集積化の流れの中で、強誘電性、強磁性、強弾性などの性質を併せ持つ多機能性材料、マルチフェロイック物質の応用化技術への期待が高まっています。

一方で、マルチフェロイック物質を合成生成する際には、偏析した副酸化物を不純物相として副生してしまうため、単相で高純度品の実現は困難とされていました。このほど、当社が開発した独自技術により、不純物相を検出することができない、均一で高純度のビスマスフェライト(BiFeO3)の合成に成功しました。ビスマスフェライト(BiFeO3)は、優れた強誘電性に加え、反強磁性秩序を併せ持つマルチフェロイック材料であることから、誘電体として使用されるだけでなく、新たな用途にも展開できる可能性もあるため、新たな用途の探索と実用化をめざして、広く共創に取り組んでいただけるパートナーを求めています。

【技術の独自性】

ビスマスフェライトの合成は、高温下で行う必要があるため、不均化反応による不純物相を生成しやすく、一般的に単相のビスマスフェライト(BiFeO3)を合成することは困難とされています。当社では、従来の製法とは別のアプローチで開発を進め、不純物相を検出することができない、均一で高純度のビスマスフェライト(BiFeO3)の合成に成功しました。

また、誘電体には、一般的に鉛(Pb)化合物が使用されていますが、ビスマスフェライト(BiFeO3)は、環境に配慮した鉛代替物質としてもお使いいただける可能性があります。

「ビスマスフェライト」の詳しい技術情報は、こちらからダウンロードいただけます。

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